「男性ができる妊活に関して役立つ情報が欲しい!」「妊活を成功させるには男性は何をすればよい?」
妊活で男性ができることって何があるんだろうと悩んでいませんか?妊活には女性だけではなく、男性にも重要な役割があります。健康な妊娠には精子の質が重要です。
本記事では、妊活中におこなう男性の準備や、日常生活で心がけることをまとめました。自分がやるべきことを理解して、パートナーと一緒に妊活を成功させましょう。
目次
女性だけではない!男性の妊活とは?
妊活は、妊娠にいたるまでの過程でおこなう、さまざまな活動や準備を意味し、男性にもやるべきことがあります。
- 精子の質を高める
- 生活習慣の見直し
- 心の健康
妊娠成立のためには質の良い精子にくわえて、心身ともに健康であることが大切です。
妊活は女性だけがおこなうものではありません。
以下で、男性の妊活を詳しく紹介します。妊活成功に向けての参考にしてください。
妊娠成立のために必要な妊活前の準備
男性がおこなう妊活前の準備を3つ紹介します。
パートナーとのコミュニケーション
妊娠から出産に向けての話し合いを、パートナーとしっかりおこないましょう。妊娠はお互いの体調やタイミングが重要です。パートナーの状態や希望を共有すると、効率的な妊活ができます。特に以下の3つをしっかり話し合いましょう。
- 計画的な妊活
- 妊娠に向けての健康管理
- 妊娠中の生活
いつ頃、何人子どもが欲しいのか、どれくらい妊活に時間を費やせるのかを最初に話し合って方向性を決めておくと、具体的な目標ができ準備を進められます。計画的な妊活には月経周期や排卵日などの情報共有が大切です。
また、妊娠に向けて健康管理をする必要があります。例えば、アルコールやカフェイン摂取量の見直し、適度な運動があげられます。
妊活中の男女にとって、アルコールやカフェインの摂取には以下の影響があります。
項目 | 女性への影響 | 男性への影響 |
---|---|---|
アルコール |
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|
カフェイン |
|
|
女性は妊娠中や授乳期間中のアルコールやカフェイン摂取を控えましょう。特にアルコールは厳禁です。男性は適量であれば、影響はありませんが、お酒やコーヒーが好きな女性にはストレスとなるので、どこまで許容できるのか話し合っておく必要があります。出産時の準備や育児の考え方、仕事との両立など、妊娠中の生活についても、パートナーと話し合っておきましょう。
妊活は精神的にも負担が多く、妊娠中の女性はストレスや不安が原因で、うつ病や産後うつになる可能性もあります。ストレスや不安を軽減し妊活を成功させるためにも、パートナーとのコミュニケーションは重要です。
クリニックで精液検査
妊娠には精子の質も重要です。そのためにはクリニックでの精液検査をおこないましょう。精液検査には以下のメリットがあります。
- 精子の質を把握
- 早期対処
- 健康状態の確認
精液検査で精子の数や運動率、形状を評価し、妊娠に向けての正しいアドバイスが受けられます。もし検査で問題が見つかったとしても、早期に治療や生活習慣の改善を始められるでしょう。定期的に検査をおこなえば、健康状態も確認でき、改善策の効果もわかります。クリニックでの精液検査で妊娠の可能性を高められると、妊活をより確実なものにできるはずです。
風疹(ふうしん)の抗体検査
妊活前には風疹(ふうしん)の抗体検査をしましょう。妊娠初期に女性が風疹に感染すると、お腹の赤ちゃんが、先天性風疹症候群を引き起こす可能性があるからです。
男性はパートナーが妊娠する前に検査し、抗体がなければ予防接種をおこないましょう。女性が予防接種をした場合は、少なくとも2ヵ月間の避妊が必要です。もし、予防接種後に妊娠が発覚した場合は、かかりつけの産婦人科医に相談してください。
風疹ワクチンの接種1回で95%、2回接種だと99%の人が免疫を獲得できると考えられています。しかし、妊娠中の女性は予防接種ができません。抗体検査をおこなう前に妊娠が発覚した場合は、不要不急の外出は避け、風疹にかからないように注意してください。
胎児が風疹ウイルスに感染し先天性風疹症候群を引き起こす可能性は、風疹にかかった時期により違いがあります。国立感染症研究所の調査によると、特に妊娠初期の12週まででは、25〜90%と高い発症率です。先天性風疹症候群の症状には以下があります。
- 白内障
- 先天性心疾患
- 難聴
- 緑内障
- 精神発達遅延
妊娠する前に検査を受けて予防措置をすれば、赤ちゃんと母親の健康を守り、安全な妊娠と出産につなげられるでしょう。
出典:厚生労働省
健康な精子とは?
WHO(世界保健機関)の調査によると、健康な精子には以下の特徴があります。
項目 | 下限基準値 |
---|---|
精液量(ml) | 1.4 |
精子濃度(/ml) | 1,600万 |
総精子数 | 3,900万 |
運動率(%) | 42 |
前進運動率(%) | 30 |
生存率(%) | 54 |
正常形態率(%) | 4 |
出典:WHO(世界保健機関)
健康な精子は、数や運動率が深く関わっているため詳しく解説します。
数が多く運動能力が高い
健康な精子は数が多く、運動している割合が高い特徴があります。WHOの基準では、精液量が1.4ミリリットル、精子濃度が1,600万個/ミリリットル、運動率が42%以上であれば正常値とされています。運動率とは精子のうち運動している精子の割合です。数が多く、運動能力が高い精子は妊娠の可能性を高めてくれます。
形が正常で寿命が長い
健康な精子は形が正常で寿命が長い特徴を持っています。形状(頭部、中片、尾部)が正常な精子が全体の4%以上で、生存率が54%以上が正常値とされています。生存率とは生きている精子の割合です。
基準値は妊娠の可否を判断する境界線ではありません。妊娠は女性の状況や、あらゆる因子に左右されます。基準値以上であれば、自然妊娠できる目安として考えましょう。
精子の質を向上させる方法
精神の質を向上させる方法は、以下の6つがあげられます。簡単にできるものから取り組んでみましょう。
生活習慣の改善
精子の質を高めるためには、特に以下3点の生活習慣が重要です。
- 栄養バランスの良い食事
- 適度な運動
- 良質な睡眠
栄養バランスの取れた食事はホルモンバランスを正常に保ち、体内環境を整え、精子の健康に良い影響を与えます。なかでも、オメガ-3脂肪酸や抗酸化物質を含む食品を積極的に摂りましょう。以下に摂取すべき食品を紹介します。
摂取すべき栄養素と主な食材 | |
---|---|
ビタミンB | ・豆類 ・牛乳 ・卵 ・牛肉 |
ビタミンC | ・果物 ・ブロッコリー ・じゃがいも ・パセリ |
ビタミンE | ・アーモンド ・アボカド ・ナッツ類 |
亜鉛 | ・牡蠣 ・レバー ・煮干し |
ベーターカロチン リコピン | ・かぼちゃ ・トマト ・ほうれん草 |
オメガ-3脂肪酸 | ・鮭 ・サバやイワシなどの青魚 |
抗酸化物質を含む食品 | ・ブルーベリー ・クルミ ・緑茶 |
一方で、偏った食事や高カロリーな食べ物を摂ると、健康な精子が作られません。アルコールやカフェインの過度な摂取は避け、バランスの良い食生活を意識しましょう。
- トランス脂肪酸(マーガリンなど)
- 加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージ)
- アルコールやカフェイン(コーヒー、お茶、お酒)
適度な運動は血行を改善し、精子の生産を促進してくれます。週に3回程度、30分以上の有酸素運動(ウォーキングや水泳)がおすすめです。
良質な睡眠はホルモンの分泌を正常化し、精子の健康をサポートしてくれます。理想的な睡眠時間は1日に7〜8時間です。睡眠の質を高めるために、睡眠前のスマートフォンの使用は控えましょう。
普段の生活習慣は精子の質に大きく影響します。食生活や運動、睡眠を整えると精子の質は向上し、妊娠の成功率を高めることができるでしょう。
喫煙や飲酒を控える
精子の質を低下させる喫煙や飲酒は控えましょう。タバコに含まれるニコチンやタールは精子にダメージを与える可能性があり、アルコールは精子の生成に必要な栄養素の吸収を妨げます。他にも遺伝子異常を持った奇形精子が増加すると、アメリカ国立衛生研究所の研究で報告されています。喫煙や飲酒が精子に与える影響は以下のとおりです。
- 精液量の低下
- 精子の正常形態率の低下
- 精子の運動率の低下
- 遺伝子異常を持った奇形精子の増加
喫煙や飲酒は精子の質に悪影響を与えます。特に喫煙は精子の質だけではなく、健康にもよくありません。妊活を始める男性はどちらも控えたほうがよいでしょう。
ストレスを溜めない
ストレスは精子の質に悪影響を与えます。強いストレスは、性欲の低下や勃起障害、男性ホルモンの分泌抑制につながるからです。他にも以下の影響があります。
- 精子数の減少
- 精液量の減少
- 運動率の低下
- 形態の異常
- 酸化ストレスが増加し老化が進む
ストレスが多いと感じている男性は、ストレスが少ないと感じている男性に比べて、精子の数量や運動性が低下する報告があります。現代は、何かとストレスの多い環境です。ストレスを低減するには、適度な運動や睡眠、リラックスする時間を作る必要があります。ストレス管理をしっかりおこない、精子の質を保ち妊娠成功率を高めましょう。
下半身を温め過ぎない
精子の質に悪影響を与える可能性があるため、下半身を温め過ぎないようにしましょう。精子は熱に弱く下半身を温め過ぎると、精巣の温度が上昇し精子の運動能力が低下するからです。
精子は正常な形態を維持するために、体温よりも低い33度前後で作られます。精巣が最も効率よく精子を生成する理想的な温度は35度です。温め過ぎは精子にとって、ストレスとなり、精子の形成を妨げてしまいます。下半身を過度に温めるものには以下があります。
- サウナや長風呂
- 長時間の座位
- ひざ上でのパソコン操作
- 長時間の自転車やバイクに長時間乗る
- ぴっちりした下着の着用
サウナや長風呂はわかりますが、ひざ上でのパソコン使用による熱でも影響があるぐらい、精子は熱に弱いので注意が必要です。下着もゆったりしたトランクスを着用し、熱がこもらないようにしましょう。
禁欲しない
過度な禁欲は避けましょう。禁欲期間が長すぎると精子の老化が進むからです。古い精子が体内に蓄積されると精子の運動性低下につながります。禁欲期間は1〜2日が適切とされていて、適切な禁欲には以下の効果があります。
- 精子の数が増加
- 運動能力の向上
- 精子の形態が改善
- 精子の酸化ストレスが低下
精子の寿命は平均3~4日で、新鮮な精子ほど受精能力が高くなります。適切な禁欲は精子の質を向上させるため、適度な間隔での性行為や自慰をおこない、精子の質を維持しましょう。
育毛剤の成分に注意する
妊活中の男性は、育毛剤の成分に注意が必要です。特にAGA(男性型脱毛症)の治療で、フィナステリドが主成分の育毛剤は使用を控えましょう。フィナステリドには男性ホルモンを抑制する働きがあるからです。他にも以下の副作用が報告されています。
- ED(勃起不全)
- 性欲減退
- 精液量の減少
また、男の子を妊娠している女性の体内に、フィナステリドの有効成分が入ると、男の子の生殖器に異常を起こす恐れがあります。妊活中の男性はフィナステリドを含む育毛剤の使用に注意が必要です。育毛剤の成分がわからない人や、現在使用中の方は、一度クリニックを受診し医師に相談しましょう。
出典:厚生労働省
妊活男性特有の問題
妊活中の男性特有の問題を以下で紹介します。
心理的な負担になる
妊活は心理的な負担を感じることがあります。妊娠に関する責任やプレッシャーを感じてストレスになるからです。他にも負担を感じる理由があります。
- 長期間、妊娠しない焦り
- パートナーや周囲からの期待
- 原因が特定できない不安
- 性行為が作業や義務的に感じる
心理的な負担は精子の質にも悪影響を与えます。妊活中の男性が感じる負担は多面的です。負担を和らげるためには、パートナーとのコミュニケーションを大切にし、よく相談し合う必要があります。専門の医師や心理カウンセリングを受けるのもおすすめです。
パートナーとの気持ちに温度差がある
妊活中にパートナーとの気持ちに温度差を感じてトラブルになるケースもあります。妊娠に対する意見が合わなかったり、妊活に対するプレッシャーを感じたりすると、気持ちにズレが生じるからです。温度差を感じる原因は以下があげられます。
- コミュニケーションの不足
- 期待値の違い
- 精神的なプレッシャー
男性が自分の考えや感情をしっかりと伝えないと、お互いがどれだけ熱心に妊活に取り組んでいるのかが理解できません。妊娠や子育てに対する期待や希望が、共有できていないと、その差が気持ちのズレとして表れる可能性があります。
妊活中に気持ちの温度差が生じると、お互いの関係に悪影響を与えます。妊活中は普段以上にパートナーとのコミュニケーションが大切です。どのような小さな問題も相談しあう必要があります。その際は感情的にならないようにしましょう。
男性不妊とは?
男性不妊とは男性側の問題により、妊娠に至らない状態です。WHO(世界保健機関)の調査によると、不妊の原因の48%は男性側にあるといわれています。男性不妊の原因や検査方法、治療方法を以下で紹介します。
男性不妊の原因
男性不妊の原因は精子の質や量の問題、医学的な疾患などさまざまです。他にも以下があげられます。
- 造精機能障害
- 精索静脈瘤
- 生活習慣
- ホルモンバランス
精子の数が少ない、動きが悪いなど、精子をつくる機能に問題がある造精機能障害が、最も多い男性不妊の原因です。精索静脈瘤は男性の陰嚢部に発達した静脈瘤を指し、乏精子症や精子の運動率の低下につながります。喫煙や過度な飲酒、不健康な食生活は精子の質に悪影響を与えます。
男性不妊の原因はさまざまですが、生活習慣の改善やストレス軽減など、自身でできる対策もあります。一方で精索静脈瘤は適切な検査と治療が必要です。不妊の疑いがある場合は、早めに医療機関で診断しましょう。
検査方法と治療方法
不妊の疑いがある場合は、専門の医療機関で検査を受けましょう。男性不妊の検査には以下があります。
- 精液検査
- ホルモン検査
- 超音波検査
精液検査は精子の数や形状、運動能力を調べる検査です。超音波検査は陰茎や、精巣などの内部を音波で撮影し、病気や異常の有無を調べます。超音波検査は痛みや切開が必要ないので、比較的安全です。検査費用は病院により異なりますが、保険が適応されない場合3〜5万円程度かかります。
男性不妊の治療方法は、医師と相談しながら適切な治療方法を選びましょう。主な治療方法には以下があります。
- 生活習慣の改善
- 薬物治療
- 手術
薬物治療ではホルモンバランスを整える薬や、精子の運動能力を高める薬が使用されます。精管の閉塞や疾患が原因の場合は手術が必要なケースも考えられるでしょう。男性不妊の治療にかかる費用は病院によって異なります。費用例としては数万円~数十万円、手術が必要になると、数百万円と高額です。一部の治療は保険が適用されるケースもあるため、事前に医師と相談しましょう。
男性不妊は早めの対応が重要です。専門の医療機関で診断を受け、適切な治療方法を選びましょう。
妊活中のよくある質問
妊活中のよくある質問を5つ紹介します。
まとめ・パートナーとの二人三脚で妊活を!
ここまで妊活中の男性の準備や精子の質を向上させる方法、妊活中の特有の問題を紹介してきました。要点をまとめると以下のとおりです。
- 妊活前に必要な準備をしておく
- 精子の質を向上させる生活習慣の改善
- 不妊治療が必要となるケースもある
妊活は女性だけの話ではありません。男性にもできることがたくさんあります。まずはできることから、積極的に取り組んでいきましょう。妊活中はお互いストレスが溜まりやすくなります。いつも以上にコミュニケーションをとるように心がけることが大切です。
時間をかけても妊娠ができない場合は、不妊の可能性が考えられます。男性が原因の不妊も多いので、不安であれば病院で検査を受けてみてください。