「EDはなんとなくはわかるけれど、自分自身が本当に発症しているのかな?」「もし、EDだった場合はどう治療していくのだろう……」
EDは男性にとってデリケートな問題のため、自己判断ではわからない方も多いでしょう。
引き起こす原因もさまざまなので、自分に合った改善方法を見つけることが大切です。そこで、この記事ではEDの症状や原因、治療方法をまとめました。
日常生活に取り入れられるEDの改善策も紹介しているので、ぜひEDを正しく理解をし、効果的な治療をしていきましょう。
目次
EDとは?意味と定義を合わせて確認
EDとは男性器の性的機能障害で、勃起障害と勃起不全の両方を意味します。
日本性機能学会のED診療ガイドライン(第3版)によれば、EDは満足な性行為をおこなうのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発することと定義されています。
男性器が勃起しづらくなる症状は加齢とともに増える傾向です。同ガイドラインには、50〜80歳までの有病率も明示されているので参考にしてみてください。
- 40歳未満:1~10%
- 40代:2~15%
- 50代:30.1%
- 60代:51.1%
- 70代:75.6%
EDは年齢とともに発症する確率が高くなり、男性に共通する悩みとされています。
EDの症状を具体的に解説
前述のとおり、EDは男性器の勃起障害や勃起不全になることです。症状の具体例を紹介していきます。
- 性欲もあるし興奮はするが、なかなか勃起しない
- 勃起はするけれど、持続できない
- オナニーでは問題なく勃起するけど、セックスだと萎える
- 挿入できて途中で中折れしてしまう
- 勃起はしているけれど、硬さがいまいち
EDの具体的症状に当てはまる場合、勃起するための仕組みの一部が機能しなくなっている可能性があります。
勃起の仕組みは、性的興奮をうけると多くの血管に血液が流れ込み、静脈の圧迫が続くことで、硬さが持続されていきます。
ここで紹介した症状がでる場合には、血管への送血か静脈圧迫のどちらかに障害がでているサインです。
EDの原因
EDの原因は主に以下の5つがあげられます。
EDの原因が理解できれば、適切な対策ができるので確認していきましょう。
ストレスやトラウマによる心因性ED
心因性EDはストレスやトラウマを原因として発症するEDです。心因性EDがあると、脳内の情報伝達物質が減少し、脳が性的興奮を感じにくくなって生じます。
EDはうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症することで、発生率が高くなる傾向です。
- 仕事の人間関係の悩みやプレッシャー
- 夫婦関係でのストレス
- 過去の性行為での失敗体験
心因性EDは全体的に、30代から40代にかけて発生しやすくなります。
神経の異常による器質性ED
器質性EDは、血流が悪くなったことが原因で起こる症状です。
勃起をする際には男性器の血管が収縮します。病気などで神経作用に異常をきたすと血流が悪くなるため、血液を運ぶことができずに勃起不全となるのです。
- 動脈硬化
- 心血管疾患や高脂血症、高血圧
- 糖尿病
- 心臓病
器質性EDは全体的に50代や60代に発生しやすくなる傾向にあります。
原因が一つではない混合型ED
混合型EDは心理性EDと器質性EDの両方が原因となって発症するEDです。混合型EDは原因が2つが重なって発症することから、原因の特定が難しいうえに重症化リスクが高まります。
例えば、50代を例に考えてみましょう。
- 動脈硬化や高血圧になる可能性が高くなる(器質性ED)
- 本格的に器質性EDになり始め、自分自身への不安感も高まる
- 不安感が性行為の際のプレッシャーになり心因性EDも発症
上記のように、器質性EDに対する不安がプレッシャーとなり心因性EDを誘発することが想定されます。
混合型EDはED患者の中でも50代から60代に多くなる傾向にあります。
薬の副作用による薬剤性ED
薬剤性EDは服用する薬の副作用によってEDとなってしまう症状です。
20代であっても精神安定剤や高圧剤、抗精神予防薬を飲んでいる場合には服用する薬の副作用でEDになりやすくなるのです。30代や40代でも高圧剤や高脂血症治療薬を飲む場合には、副作用でEDになることもあります。
EDは年齢を重ねるごとに発症リスクが上がりますが、薬剤性EDはどの年代でも発症する可能性がある点にも留意しておきましょう。
ペロニー病によるED
ペロニー病は陰茎の内部に炎症(しこり)が起きる病気です。特徴として痛みをともないます。この痛みが原因でペロニー病によるEDを発症するのです。
しかし、ペロニー病の原因は解明されていません。傾向としては、糖尿病や高血圧などの病気と併発しやすくなります。
癌になるリスクは一般的に高くはありませんが、ペロニー病は専門クリニックでの治療がおすすめです。
市販薬でペロニー病は治る?
ペロニー病の治療には薬物療法、体外衝撃波治療、そして手術がありますが、市販薬による治療は困難です。症状の軽減を目指す内服薬として、ケロイド防止薬のトラニラストやビタミンEの使用が挙げられます。
これらの薬物治療がすべての患者に効果的とは限らず、実際に症状が改善する例は半数以下です。また、局所注射治療にはカルシウム拮抗薬やインターフェロン、ステロイドなどが使用されることがあります。
これらは直接患部に薬を注射するため、内服薬よりは効果があるとされていますが、完治には至らないことがほとんどです。
自身がEDになっているかを判断する方法
自分自身がEDを発症してないか判断する方法は主に2つあります。
EDの判断をするためにうまく活用していきましょう。
EDで注意すべき兆候
はじめに、EDの兆候があるか否かを確認するようにしましょう。EDが疑われる場合には、何かしらの兆候があるはずです。
- 朝の目覚めや夜間で勃起がない
- 挿入時に勃起が弱く十分な硬さががない
- 性欲が薄れている
- 日常生活で足の筋肉の痛みや痙攣がある
- 臀部と陰部の周辺に痺れがある
勃起の硬さ弱さについても一定の指標があります。東邦大学の永尾教授のEHS日本語版(勃起の硬さスケール)を参考にしてみましょう。
- グレード0:陰茎は大きくならない
- グレード1:陰茎は大きくなるが、硬くはない
- グレード2:陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない
- グレード3:陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない
- グレード4:陰茎は完全に硬く、硬直している
EHS日本語版では、どのグレードからEDの兆候があるかは明示されていません。勃起するか否かだけではなく、勃起の硬さや維持できる時間も参考にしてみてください。
病院やクリニックでED検査を受ける
EDかどうか判断するには、兆候を確認する方法以外にも病院やクリニックでED検査を受ける方法があります。
クリニックでは知識と経験のある専門医による診察と豊富な診療例があることから、自己判断するよりも精度があがるのでおすすめです。
ED検査は問診票に自分自身の症状を記入し、医師によって診察を受けます。
例えば、思っていたよりも硬くならない、性行為の途中で折れる、復帰するまでに時間がかかるなどの症状を医師に相談するとよいでしょう。
クリニックの検査は、問診だけではありません。
- テストステロンの測定
- バイアグラテスト
- 夜間勃起テスト
上記のように自宅では簡単にできない検査もしてもらえます。EDの兆候を自身で確認しながら、専門機関の検査も活用してみましょう。
EDの治療法
EDの治療方法はいくつか確立されています。
ここでは治療方法の内容を紹介していくので、参考にしてみてください。
ED治療薬による治療
EDには治療薬があります。国内で処方が認められているのは3種類です。
- バイアグラ(シルデナフィル)
- レビトラ(バルデナフィル)
- シアリス(タダラフィル)
ED治療薬のなかでも、バイアグラは最も国内で知名度があります。バイアグラは勃起する力を高めて、持続力を保ってくれるところが特徴的です。世界初のED治療薬で国内初のED治療薬として認可されました。
レビトラは勃起不全の改善が期待できるED治療薬です。即効性の高さに強みがあります。2021年に販売元からレビトラの販売が中止されており、代替薬としてジェネリック薬品のバルデナフィルが流通するようになりました。
シアリスは世界で最も流通しているED治療薬です。シアリスは勃起を長時間にわたって持続させられる強みがあります。有効成分が最大36時間にわたって効果を発揮してくれます。
ED治療薬の個人輸入は安全性の保証がないので、今回紹介した治療薬をクリニックで処方してもらうようにしましょう。
ED治療薬に抵抗がある場合の代替策
ED治療薬に抵抗がある場合には替わりの治療として陰圧式勃起補助具があります。
陰圧式勃起補助具は、ED診療ガイドライン(第3版)でも推奨されていることからおすすめできる治療方法です。
陰圧式勃起補助具は、空気圧を利用して陰茎の海綿体に血液を送り込むことで勃起を補助してくれます。治療薬で効果が見られない場合や、ED治療薬の副作用が強く出てしまう場合に有効です。
陰圧式勃起補助具は医療機関のみ使用を認められています。医療機関へ通院が必要となる点に留意しましょう。
手術による治療方法
EDは手術で治療する方法もあります。陰茎プロステーシス手術です。
具体的には、シリコン製インプラントを陰茎に埋め込みます。
- 治療薬が使えない場合(副作用や非適格事由)
- 更に勃起式補助器具を使えない場合
手術自体は入院が必要なほど大がかりなものではなく、日帰りで終わるので安心です。
また、全身麻酔を必要とせず局所麻酔をする方法もあります
そのほか陰茎プロステーシス手術以外にも陰茎注射による治療法が存在します。ただし、国内では認められていないので注意しましょう。
自力で治す
軽度なEDは体質改善をおこなうことで、ED治療薬の効きも良くなり自力での改善に役立ちます。
EDの原因の一部は脳刺激や血管の血流悪化などです。
例えば、背脂の多いこってりしたラーメンをよく食べる場合には、自身で頻度を減らすことで体質改善につながります。高脂質・高カロリーな食事は血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを増やして、血流が悪くなってしまいます。
健康的な身体づくりをして内服薬の効果を高めるためにも、生活習慣・体質改善をおこなうようにしましょう。
日常生活でできるED改善方法を紹介
日常生活でできるEDの改善方法を紹介していきます。
EDを改善するためには大切な要素なので確認してみてください。
健康的でバランスのよい食事を意識する
EDを改善するためには、健康的なバランスの良い食事を意識するようにしましょう。
ED診療ガイドライン(第3版)によれば、BMIや肥満度が上昇するにつれてEDになるリスクが高まるとされています。
これらを回避するためにも、高カロリー・高脂肪の食べ物や糖質の取り過ぎに注意するようにしましょう。動脈効果や生活習慣病の改善にも役立ちます。
また、体に良いとされる栄養素の過剰摂取にも注意してください。適度に摂るのは良いことですが、吸収しきれない分は体外に排出されるため過剰摂取をしても無駄になってしまいます。
バランスの良い食事をとることはED改善だけではなく、健康的な体作りにも大切です。
ED改善に効果的な有酸素運動を取り入れる
EDは、有酸素運動をすると改善できます。
有酸素運動は肥満の解消につながるからです。ED診療ガイドライン(第3版)でも運動不足がEDのリスク要因として明記されています。
具体的な運動方法は下記の通りです。
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- 水泳
年齢や体調、長期的に続ける観点からも自分に合った運動方法を選ぶようにしましょう。複数を組み合わせて続けるのもおすすめです。
ストレスを溜め込まない
EDを改善するためには、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
過剰な緊張やストレスがたまった状態でいると自律神経が優位となり、勃起しづらくなるためです。
日頃からストレスをためないようにすることで、EDの改善にもつながります。ストレスを発散させるためには下記のような方法があります。
- 運動
- 睡眠
- レジャー
- サウナ
手軽にできるものからリラックスできる状態を作るようにしましょう。
血流が悪くなるタバコはやめる
EDの改善には禁煙することも大切です。タバコは血流を悪くする点で悪影響を及ぼします。
血管内皮障害(血液を送るための緩急の働きの障害)が発症し、陰茎への血流が悪くなるうえに、交感神経刺激が優位となり勃起障害になりやすくなるのです。
ED診療ガイドライン(第3版)によれば、喫煙者の方が非喫煙者よりもEDになるリスクが上がるとされています。
喫煙すると、ED治療の効果が出づらく治るまで時間がかかる可能性が高まるので禁煙を心がけましょう。
ED治療に関するFAQ
ここではEDについてよくある質問をまとめました。
- ED薬を使用しても、薬なしで勃起できますか?
- EDの治し方は20代、30代、40代で年代は関係なく同じものですか?
- 薬局で買える市販ED治療薬は効果がありますか?
- EDは自然治癒するものですか?
- EDを治療しているときに食事や飲酒面など気を付けることはありますか?
- インポテンツとEDは同じことですか?
EDの治療方法は確立していますが、初めての治療だと不安になるときもあるでしょう。気になることがあればあらかじめ確認してみてください。
EDに関する本記事のまとめ
EDとは主に男性器の機能障害ですが、完全勃起だけではなく勃起障害も含みます。
そして、EDの症状は主として5種類に分類されるので覚えておきましょう。
- 心因性ED
- 器質性ED
- 混合型ED
- 薬剤性ED
- ペロニー病によるED
EDのほとんどは治療薬が中心ですが、他にも手術による治療や代替策での治療も可能です。EDになる原因を理解して、自分の症状に合った治療をするようにしましょう。