「デュタステリドで副作用は起こる?」
「デュタステリドの注意点が知りたい……」
このような疑問や悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
薄毛予防の効果に期待できるデュタステリドですが、男性機能の低下や肝機能障害など、さまざまな副作用が起こる可能性があります。副作用のリスクを軽減するためには、薬の正しい知識を身につけておかなければいけません。
本記事では、デュタステリドにはどのような副作用があるのかの疑問とあわせて、正しい服用方法や注意点なども解説します。
デュタステリドで治療中の方や、服用を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
デュタステリドとはどのような薬?
デュタステリドは、AGA治療薬として知られているザガーロに含まれている成分です。もともと前立腺肥大症の治療のために開発された成分ですが、薄毛予防にも効果が期待できることがわかりAGA治療薬として処方されています。
日本皮膚科学会が発行する男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、デュタステリドは男性型脱毛症に対して推奨度Aと定められています。
デュタステリドの副作用
デュタステリドはAGAを予防し、進行を抑制する効果が期待できる反面、副作用のリスクも考慮しなければいけません。主な副作用を詳しく解説します。
- 男性機能の低下(ED・性欲減退など)
- 肝機能障害(黄疸・倦怠感・皮膚のかゆみ)
- うつ症状や気力低下
- 初期脱毛
- 乳房障害
男性機能の低下(ED・性欲減退など)
男性機能の低下では以下の症状が起こる場合があります。
- 勃起障害(ED)
- 性欲減退
- 精液減少
- 射精障害
男性機能の低下の原因は、デュタステリドが男性ホルモンのテストステロンに作用することに起因すると考えられています。フィナステリドにも同じような副作用がありますが、頻度は同等、もしくはデュタステリドがやや高い傾向です。
パートナーがいる方は相談のうえ、服用をおすすめします。
肝機能障害(黄疸・倦怠感・皮膚のかゆみ)
デュタステリドの副作用で肝機能障害が起こる場合があります。デュタステリドは肝臓で代謝される治療薬のため、負担がかかることが原因です。ただし、肝機能障害はデュタステリドに限った副作用ではなく、他の治療薬でも起こり得ます。
進行すると以下の症状が現れます。
- 全身倦怠感
- 食欲低下
- 嘔気
- 黄疸
- 皮膚のかゆみ
- 体のむくみ
頻度は稀なため過度な心配は必要ありませんが、定期的に血液検査をおこない、肝機能の数値を確認しておくと安心です。
うつ症状や気力低下
うつ症状や気力低下の副作用も一部報告されています。デュタステリドによるジヒドロテストステロン(DHT)の抑制作用が影響していると考えられています。
稀な副作用ですが可能性はゼロではないので、専門知識のある医師のもとで服用することが望ましいでしょう。
初期脱毛
初期脱毛とは、正常なヘアサイクルに戻すための働きにより起こります。休止期に入り成長が止まっていた髪が抜け落ちることです。この初期脱毛により、効いていない、薬が合っていないと勘違いされる方も多いかもしれません。
しかし、初期脱毛はデュタステリドが効果的に作用している証拠です。目安として1~2ヵ月で初期脱毛が終わり、3ヵ月目から髪が生えてきます。ただし、初期脱毛が治らない場合はすぐに医師へ相談し指示を仰ぎましょう。
乳房障害
乳房障害として、以下の症状が現れることがあります。
- 乳房圧痛
- 女性化乳房
- 乳頭痛
- 乳房不快感など
発症率は低いものの、可能性はゼロではないので不調が続くようなら医師へ相談してください。
デュタステリド服用時の5つの注意点
デュタステリドを服用する際の注意点を5つ解説します。
肝臓の病気がある方は医師へ相談する
肝臓に何らかの病気がある方は、事前に医師へ相談しましょう。肝臓に病気がある状態でデュタステリドを服用すると、うまく代謝されず副作用が強く現れる可能性があります。
血液検査の結果、内服薬治療ができないと判断された場合は、自宅でのAGA対策が重要です。生活習慣を見直したり、食生活を改善したりすることはAGA対策として有効です。また、外用薬であれば体内に吸収されても微量なので、問題なく使用できます。
AGA以外の薄毛には効かない
デュタステリドはAGA治療薬なので、薄毛の原因がAGA以外であれば効果はありません。効かない具体例として、円形脱毛症やホルモンバランスの乱れなどがあります。
薄毛や脱毛の原因はAGAだけではないため、効果がないと感じる場合は他の原因を探ることが重要です。抜け毛や薄毛が気になったら、まずはAGAに長けたクリニックでのカウンセリングや、検査キットによる検査をおすすめします。
用法・用量を守り正しく服用する
デュタステリドは、1日1回忘れずに服用しなければ十分な効果が発揮されません。一度に多量に使用しても効果が上昇するわけではありません。かえって副作用のリスクが高まり、健康被害につながります。
飲むタイミングは決まっていませんが、飲み忘れを防ぐために決まった時間に飲むとよいでしょう。デュタステリドの効果が現れる目安は3ヵ月〜6ヵ月程度です。その間は継続して服用してください。
個人輸入で購入しない
デュタステリドは医師の診察を受け、クリニックで処方されたものを服用しましょう。通販でも購入できますが、偽薬が流通している可能性があり、有効な成分が含まれている保証がありません。
また、違法な販売サイトを利用すると、健康上のリスクだけでなく法的な問題が生じる場合もあります。デュタステリドでの治療を考えているなら、かならず医師の診断を受けて処方してもらいましょう。
おすすめのAGAクリニックは下記の記事で紹介しています。
前立腺がん検査を受ける場合は事前に医師へ伝える
前立腺がん検査を受ける予定がある場合は、事前に医師へ伝えるようにしましょう。デュタステリドを服用すると前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)が低下します。
そのため、正しい判定ができず、前立腺癌が発生した際に見落とされることがあります。治療が遅れて悪化する可能性もあるので、前立腺がん検査を受ける場合は忘れずに医師へ伝えておきましょう。
デュタステリドが使用できない方
以下に当てはまる方はデュタステリドは服用できません。健康被害をまねく恐れがあるため、詳しく解説します。
女性・小児
デュタステリドには女性の薄毛を改善する効果がありません。とくに、妊娠中または妊娠の可能性がある方がデュタステリドを服用すると、男性胎児の外性器の発達に悪影響を及ぼす恐れがあります。
また、小児に対しても安全性が確立されていません。使用はもちろん、デュタステリドに触れるだけでも皮膚吸収の恐れがあるため、取り扱いには十分に注意しましょう。
重度の肝機能障害がある方
重度の肝機能障害がある方は、デュタステリドの代謝がうまくできず、副作用が強く現れる可能性があります。しかし、肝機能の数値が異常に高すぎなければ治療可能な場合もあります。
重度の肝機能障害がある方がAGA治療を検討する場合は、定期的な採血検査が必要です。外用のミノキシジルであれば血中に移行する成分が微量なので、肝機能障害の方でも問題なく使用できます。
成分が同じ薬を服用している方
デュタステリドの成分と同じ働きをするフィナステリドは、原則併用できません。どちらも5αリダクターゼII型を阻害し、同等のメカニズムで男性ホルモンにアプローチする治療薬です。
フィナステリドは、5αリダクターゼⅡ型に有効なのに対し、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害します。料金はデュタステリドのほうが高いものの効果も高いため、医師と相談のうえ服用する薬を決定してください。
デュタステリドの正しい服用方法と服用期間
デュタステリドは1日1錠の服用です。一度に多量に服用しても効果が上がるわけではありません。かえって副作用のリスクが高まり、健康被害につながります。十分な効果を発揮するためには、用法と用量を守り、正しく服用しましょう。
万が一飲み忘れた場合は、気付いた時点で1錠服用してください。翌日から通常どおり1日1錠服用しましょう。服用後は24時間以上の服用間隔が必要です。飲むタイミングは定められていませんが、飲み忘れを防ぐために決まった時間に飲むのがおすすめです
デュタステリドの効果が現れる目安は3ヵ月〜6ヵ月程度です。その間は服用を止めず継続して服用してください。
デュタステリドと他のAGA治療薬の違い
デュタステリドとフィナステリド、ミノキシジルの違いを下記の表にてまとめました。
デュタステリド | フィナステリド | ミノキシジル | |
効果 | ・5αリダクターゼI型 とII型の働きを阻害する ・AGAの進行を防ぐ | ・5αリダクターゼII型の働きを阻害する ・AGAの進行を防ぐ | 発毛や髪の成長を促進する |
副作用 | ・勃起機能障(ED) ・性欲減退 ・精液量の減少 ・乳房の女性化 ・乳房肥大 ・肝機能障害 ・初期脱毛など | ・勃起機能障(ED) ・性欲減退 ・精液量の減少 ・肝機能障害 ・初期脱毛など | ・全身の体毛の増加 ・むくみ ・動悸や息切れ ・めまいや立ちくらみ ・肝機能障害など |
効果が現われる までの期間 | 6ヵ月〜1年 | 3ヵ月〜6ヵ月 | 最短3〜4ヵ月 |
参考:アイシークリニック
デュタステリドとフィナステリドはAGAの進行を防ぐ目的なのに対し、ミノキシジルは発毛や髪の成長を促進します。さらに詳しく見ていきましょう。
下記の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
フィナステリドとの違い
デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方に有効なのに対し、フィナステリドは5αリダクターゼⅡ型のみを阻害します。5αリダクターゼとは、AGAと密接した関係にある酵素です。
- 5αリダクターゼⅠ型‥毛乳頭細胞や皮脂腺を中心に全身に分布している
- 5αリダクターゼⅡ型‥前頭部や頭頂部に存在する酵素
デュタステリドはⅠ型とⅡ型両方に働きかけるため、より効果が実感しやすくなります。フィナステリドを半年服用しても効果がない場合は、デュタステリドへの切り替えが検討されることもあります。
ただし、デュタステリドのほうが値段は高めなので、十分に検討しましょう。
フィナステリドについては下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
ミノキシジルとの違い
デュタステリドやフィナステリドと働きや目的が異なるのがミノキシジルです。デュタステリドとフィナステリドは抜け毛や薄毛を抑制する効果があります。一方ミノキシジルは、発毛や髪の成長を促進するために用いられます。
髪の毛を太く長く、健康に成長させる働きがあるため、併用すると高い効果が期待できるでしょう。また、デュタステリドとフィナステリドは女性の処方が禁忌されていますが、ミノキシジルは女性でも使用可能です。
デュタステリドに関するよくある質問6選
ここでは、デュタステリドに関するよくある質問をまとめているので参考にしてください。
まとめ:デュタステリドの効果や副作用を理解し正しく服用しよう
薄毛予防の効果が期待できるデュタステリドですが、以下のような副作用が起こる可能性があります。
- 男性機能の低下(ED・性欲減退など)
- 肝機能障害
- うつ症状や気力低下
- 初期脱毛
- 乳房圧痛・肥大
臨床試験結果では危険性は低いとされていますが、可能性はゼロではないので服用後に異常を感じた際は速やかに医師へ相談してください。正しく服用できていなければ副作用のリスクも高まります。
安全に治療を進めるために、薬の正しい知識を身につけ、用法・用量を守って服用しましょう。